もうすぐ「木」から造ったお酒が飲めるかもしれないそうです。
これまでもウイスキーなどのように、木の成分をアルコールに溶け込ませたお酒はありましたが、
今回のお酒は、「木」そのものをお酒に変える新しい技術が使われた、世界初のお酒であるとのこと。
―――人間は「木」を消化吸収することができないため、「木」は食材とすることができない素材でした。これがお酒の形で利用できるようになるのであれば、ものすごい革命ですよね。
この新しい技術は、国立研究開発法人の森林総合研究所で開発されました。
水中で木材の細胞壁を砕いてほぐす「湿式ミリング処理」という技術です。
この技術の優れた点は、熱や薬剤を使わずに、機械処理だけで、木材の強固な細胞壁内に守られているセルロースを露出できる点です。
これまでは大量のエネルギーや有害な薬剤を使わないとできないことだったのが、格段に簡単・安全・低コストで可能になったのです。
そして、この露出したセルロースは、酵素でブドウ糖へ分解し、ブドウ糖は酵母でアルコール発酵することができる。
熱も薬品も使わないので、木の風味を残したままお酒に加工できるのです。
これが世界初の「木の酒」の製造技術です。
杉の木1本からボトル100本以上(35%蒸留酒)が造れるそうです。けっこうたくさん採れますね。
気になる香りですが、それぞれの木ごとに特徴が異なるようで、次のような香りがするそうです。
杉のお酒・・・醸造系の特有香、杉の木の香り、樽酒に近い香り
白樺のお酒・・・白ワインのようなフルーティな香り、独特な青臭みも有る
ミズナラ・・・醸造系の特有香、ウイスキーのような香り
クロモジ・・・柑橘系とバラのような香り
将来展望として、「木の酒」生産量が、国産ジンの2021年度生産量2897キロリットルのレベルまで増えた場合、年間1万トンの木材需要や「木の酒」製造所の増築・稼働により日本全体で年間約150億円の経済効果が想定されるそうです。
また、「木の酒」が山村から提供されることで、山村地域への関心が高まり、山村地域の観光・経済が振興するとともに、「木の酒」は、日本の酒文化、食文化をさらに豊かなものにしていくだろうということです。
新たな食文化として根付いていくのか、とてもロマンのある話です。
現在はベンチャー企業、エシカル・スピリッツ(東京)が千葉市緑区に蒸留所を建設中らしく、もう少しで「木の酒」が飲める日がやってきそうです。
とても楽しみですね。
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