家庭でカレーを作るとあまり日持ちしないですよね。
その原因は100℃に加熱しても生き残る食中毒の原因菌が増えてしまうことなのですが、
レトルトカレーが常温で数か月持つのってなぜなのでしょうか?
家庭でカレーを作ると日持ちしないのは、ウェルシュ菌が原因
ウェルシュ菌とは、人や動物の腸管、土壌、水中など自然界に広く分布し、酸素を嫌う嫌気性菌です。
食材としては、特に食肉の汚染が多いようです。
この細菌は100℃の高温にも耐える芽胞を作るため、他の細菌が死滅するような高温でも死滅せずに生き残ります。
高温時はさすがに活動停止するようですが、周囲の温度が下がってくると活動を再開、増殖するのです。
また、食品の内部は酸素が無い状態のため、これも嫌気性のウェルシュ菌が好む環境になってしまいます。
そして、ウェルシュ菌が出すエンテロトキシンという毒素が食中毒を引き起こします。
料理の中では、カレー以外にも肉類、魚介類、野菜を使用した煮込み料理類でウェルシュ菌由来の食中毒が多いとされています。
事例が多いのは飲食店や給食などで、食べる日の前日に大量に加熱調理され、大きな器のまま室温で放冷されていると発生しやすいようです。
逆に家庭ではそれほど多くはないのだとか。
とはいえ、食中毒予防の観点から、カレーを大量に作って保存する場合、なるべく早く温度を下げ、小分けした上で冷蔵庫などで急速に冷却した方がよいとされています。
なお、ウェルシュ菌の芽胞は100℃にも耐えますが、加熱後温度が下がると、熱に弱い栄養体として存在するため、再加熱によって菌を減らしやすくなります。
一度保存したカレーを食べる前には必ず加熱をしましょう。
レトルトカレーはウェルシュ菌を死滅可能な120℃で製造されているため日持ちする
ウェルシュ菌は100℃にも耐えますが限界はあり、さらに高温の120℃にすれば4分の加熱で死滅させることができるのです。
(なお、100℃でも400分かければ死滅するようです。しかし、これでは殺菌はできてもカレーの味や風味は悪くなってしまうでしょう。)
レトルトカレーは、家庭では難しいこのような温度条件で作られることで十分殺菌された日持ちする商品になっているのですね。
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