コオロギ食ってどうなの?

今どきの食事情

最近コオロギ食が話題になっていますね。
無印良品が「コオロギせんべい」を販売したり、学校給食でコオロギの粉が使われたりと。
みなさんはコオロギ食にどのような印象を受けているでしょうか?

この記事では、
①今コオロギ食が注目されてきている背景
②日本の昆虫食の歴史
③コオロギ食推進がちょっと急過ぎない?
について書いてみたいと思います。

①今コオロギ食が注目されてきている背景

注目されるきっかけとなったのは、2013 年に国際連合食糧農業機構 (FAQ) が公表した
レポート 「Edible Insects- Future Prospects for Food and Feed Security(食用昆虫 – 食料と飼料の安全性の将来展望)」 でした。

2050年までに世界の人口は90億人に迫り、それに伴い動物性タンパク質の需要拡大が予測されますが、今ある畜産だけでは足りず、環境へ与える影響も大きくなります。
そこで、環境負荷が畜産よりも低く、効率的に動物性タンパク質を摂取できる食資源として、昆虫食の新たな可能性が示されたのです。

つまり、このまま世界の人口が増えるといずれ食糧難になる可能性が高いから、みんなで虫を食べよう、ということです。

さて、昆虫食(ここではコオロギ)の利点には次のものがあります。

・餌代が安く済む
家畜から1kgのタンパク質を生産するのに必要となる餌の量が、鶏2.5kg、豚5kg、牛10kgであるのに対し、コオロギでは1.7kgとされ、かなりコスパが優れています。

・環境にやさしい
メタンガスや二酸化炭素などの温室効果ガスをほとんど出さず、養殖に必要な水や土地も少なくて済みます。

・コオロギは育てやすい
雑食で餌の選択肢が広く、繁殖サイクルも早いなど安定的に繁殖させやすいようです。

・栄養がある
タンパク質が豊富で体の65%を占め、他にもミネラル、食物繊維、ビタミンなどを含みます。

一方で、アレルギー反応を起こす可能性がある、病原菌など安全性に問題がある可能性が否定できない、プリン体含有量が高いため痛風や抗尿酸血症の患者には適さない、という指摘もあります。

価格的にも、現状の一例としてコオロギ粉は100gで1500円前後とかなり高額です。(ただしこれは量産化や効率化により今後大きく下がっていくとみられています)

また、肝心のコオロギの味ですが、コオロギの種類によっても味が変わり、「エビに近い」、「雑穀やナッツのような香ばしさがある」「ほんのり甘味」などの声が聞かれます。

②日本の昆虫食の歴史


ところで、日本では昆虫を食べる歴史はあったのでしょうか?
調べると、日本においては江戸時代以降多くの昆虫食の記録が残されていて、日本各地で貴重な動物性タンパク質源として位置づけられていたようです。
大正時代の全国調査によると55種に及ぶ昆虫(ハチ類14種、ガ類11種、バッタ類10種など)が41都道府県で食べられていたとのことです。

その代表は稲の葉や茎を食べるイナゴで、江戸時代にはイナゴの蒲焼が夏の風物詩として親しまれていたそうです。
また、第2次世界大戦中および戦後の食糧難の時代には、重要なタンパク源とされていました。

しかし、戦後の発展により食料事情が大きく向上し、昆虫よりもおいしい肉が手軽に食べられるようになりました。
また、病気を媒介する不衛生なハエや蚊を駆除しようというキャンペーンが広まったことで「虫=不衛生」というイメージが根付いたことも大きいと考えられます。
このような食生活や認識の変化から一般的な食卓からは昆虫食は廃れていき、一部が残るのみとなりました。

ただ、日本のコオロギの食文化は調べても出てこないのは気になるところですね・・・。

③コオロギ食推進がちょっと急過ぎない?

一企業がコオロギを使った商品を販売しているだけなら問題はないものと考えられます。
一般消費者が食べる食べないの選択をする余地が残されているからです。

問題なのは、学校給食でコオロギの粉が使われた件のように、選択の結果ではなく半ば強引に食べさせられる社会情勢が形成されてしまう危うさが最近の動向に見られることです。

前述のように、もともと未来の食糧難の可能性を憂慮して虫を食べようという国際会議声明から始まっているため、今の食生活の一部か全部かはともかくとして、肉を虫に置き換えていこうというのが最終目標と考えるのが自然です。せんべいの一部にコオロギ粉を混ぜてますレベルから今晩のおかずはコオロギ炒めねレベルまで持っていくのが着地点でしょう。

そもそも昆虫食が廃れて肉食が広まったのは、純粋に多くの人が昆虫より肉の方がおいしいと選択してきた結果です。それを覆して昆虫食を広めていくことには本来相当丁寧なやり方が必要となるでしょう。

「貧乏人は麦を食え」
かつて池田勇人蔵相は緊縮財政下の不況の上、米価が高騰していた1950年12月7日に参議院予算委員会でこう答弁しました。
これはマスコミによるセンセーショナルな意訳でしたが、本質は突いているでしょう。 本来は次のような発言でした。
「所得の少ない方は麦、所得の多い方は米を食うというような経済原則に沿ったほうへ持っていきたい」
この「麦」と「米」を、「虫」と「肉」に置き換えてみたらどうでしょうか。今のところはむしろ肉より高い虫ですが、将来肉より安くなった時どうなるでしょう。

昨今はコロナ渦やロシアの侵攻の影響でインフレが進み国民の生活はどんどん苦しくなっていっています。このような時代の中にいると、ますます格差の広がる資本主義社会の中において、肉は金持ちしか食べられない、お金のない人は虫を食べる時代、本当にそんな時代がやってくるかもと言っても、もはや大げさな話ではないのかもしれません。

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